相続人どうしを公平に扱うための「特別受益」とはどんな制度か

公開日: : 最終更新日:2014/09/17 全般

Pocket

14-0409-01

おはようございます。
愛知県の行政書士 森智英です。

遺産分けの問題で、相続人間の不公平さを正す制度があります。
「特別受益」といいます。

言葉は聞いたことはあっても、実際にはどのような制度なのか?
どのように計算すれば良いのか?

ご存じ無い方も多いかと思います。

そこで、今回は「特別受益」について例題をあげながら解説してみたいと思います。

特別受益とは

相続人の中に、特別に故人(被相続人)から贈与や遺贈を受けた者がいるとします。
これを、「特別受益者」といい、贈与や遺贈を受けた財産を「特別受益分」といいます。

この特別受益者が、他の相続人と同様に相続財産を分けてもらえるのでは不公平になることから、公平を図ることを目的にこの制度があります。

特別受益者は故人(被相続人)から財産(遺産)を先にもらっていると考え、相続財産にその額を加え各相続人の相続分を計算することになります。

実際の計算方法については、後からご案内します。

特別受益の種類

1.遺贈
遺贈とは、遺言で財産の全部または一部を贈与することをいいます。
遺贈で相続人に無償で贈与されたものはその目的を問わず、特別受益になります。

2.生前贈与
・結婚や養子縁組の為に財産の贈与(持参金、支度金など)
・生計の資本としての贈与(事業資金、住宅購入資金など)
・他の相続人とは異なる高額な学費や留学資金など

3.生命保険金・死亡退職金
原則としては特別受益にあたりません。

ただ、他の共同相続人に比べ、よほど高額な金額の場合は特別受益として扱われることもあります。

遺産分割の計算について

故人(被相続人)が死亡した時の財産に特別受益分を加えて、その合計額を「相続財産」として、これを各相続人の相続分を計算していきます。(「持ち戻し計算」といいます。)

(計算例)
故人(被相続人)が死亡した時には、5000万円の財産がありました。

相続人としては、妻A、長男Bと次男Cの3名だとします。

その内、長男Bは独立する際の事業資金として1000万円を贈与されており、これが特別受益になるとした場合のそれぞれの相続分については以下になります。

①みなし相続財産を計算
5000万円 + 1000万円 = 6000万円

②各相続人の法定相続分を計算
妻A   6000万円 × 2分の1 = 3000万円
長男B  6000万円 × 4分の1 = 1500万円
次男C  6000万円 × 4分の1 = 1500万円

③特別受益者の相続分を計算
長男B  1500万円 - 1000万円 = 500万円

この計算例では、500万円を受け取ることができますが、特別受益の額が法定相続分を超過する場合は、相続分はゼロとなり受け取れません。

なお、特別受益者は超過分を返還する必要はありません。(ただし、「遺留分」の制限は受けます)。

特別受益の価値について

土地を生前贈与でもらっていた場合は、相続が発生した時の価値で計算されます。

贈与時に3000万円であったとしても、相続発生時には土地の価値が5000万円になっていれば、5000万円で計算する必要があります。

以上、参考になさってください。

 

⇒ 相続手続き・遺言書作成の専門サイトはこちら

円満な相続を送りたい人のための無料メールセミナーを提供しています↓↓

header-seminar07

関連記事

14-0509-01

知っておきたい!遺産分割協議のやり直しで損しないための予防策

おはようございます。 愛知県の行政書士 森智英です。 今回は、遺産分割が完了した後に

記事を読む

14-0306-01

目利きのプロ!?が教える相続手続きの専門家を選ぶための3つのポイント

スーパーに行くと、つい精肉コーナーで足が止まります。 おはようございます。 愛知県の行政

記事を読む

14-0510-02

相続対策として賃貸物件を建築することが有効なのか検証してみました

    おはようございます。 愛知県の行政書士 森智英です

記事を読む

14-0225-01

相続は揉めて当たり前!

おはようございます。 愛知県の行政書士、森智英です。 今まで仲良く過ごしてきていても、

記事を読む

14-0523-01

戸籍を取り寄せることで何が証明できるのか知っておこう!

おはようございます。 愛知県の行政書士 森智英です。 今回も相続手続きの記事にしよう

記事を読む

14-0710-01

これさえ読めば遺産相続なんか怖くない!揉めたくない方は必見!!

おはようございます。 愛知県の行政書士 森智英です。 今回は「遺産相続」に関するまと

記事を読む

14-0917-01

遺産相続でよくみる兄弟間でもめるケースとその対応について

おはようございます。 愛知県の行政書士 森智英です。 遺産相続について、兄弟間でもめ

記事を読む

14-0512-01

相続対策として養子縁組するメリットについて考える

おはようございます。 愛知県の行政書士 森智英です。 今回は、相続対策として養子縁組

記事を読む

14-0926-01

相続人の範囲と消息不明の相続人がいるケースの対応について

おはようございます。 愛知県の行政書士 森智英です。 今回は、相続手続きの基本になる

記事を読む

14-0321-01

不動産を複数で相続する場合の分割方法について

悩みって尽きないですよね。 おはようございます。 愛知県の行政書士 森智英です。

記事を読む

14-0926-01
相続人の範囲と消息不明の相続人がいるケースの対応について

おはようございます。 愛知県の行政書士 森智英です。

14-0917-01
遺産相続でよくみる兄弟間でもめるケースとその対応について

おはようございます。 愛知県の行政書士 森智英です。

14-0911-01
示談書の書き方を伝授!トラブル防止の秘訣とは?

おはようございます。 愛知県の行政書士 森智英です。

14-0904-01
遺産分けの準備は大丈夫?遺贈と死因贈与の違いを解説します!

おはようございます。 愛知県の行政書士 森智英です。

14-0828-01
行政書士が言及する!各種営業許可等の申請が複数になるケースとは

おはようございます。 愛知県の行政書士 森智英です。

→もっと見る

  • mori0422-7

    TSパートナー行政書士事務所 / 森 智英

    愛知県岡崎市に事務所を構え、各種許認可の申請代行から相続、離婚など暮らしに関わる問題なども法務的なノウハウを交えて解決のお手伝いをしております。
    愛知県内は無料にて出張訪問も致します。

    お節介で世話好きな性分を活かせる「行政書士」という仕事にはやり甲斐を感じ、法律家としての専門的なアドバイスやきめ細かいサポートを心掛けております。

    また、長年の営業経験で培った粘り強い交渉力を活かし、難題な申請業務であっても、許可取得の成果を上げております。
    お客様の利益のためには、申請窓口に何度も出向き協議を重ねるなどの努力は惜しみません。

    logo-link

PAGE TOP ↑