遺言執行者の役割と選任するメリットについて

公開日: : 最終更新日:2014/09/18 全般, 遺言

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おはようございます。
愛知県の行政書士 森智英です。

最近では、遺言書を作成することが徐々に広がりつつあると感じます。

そうはいっても、「遺言書なんて縁起でもない」といったネガティブな考えや、「資産家だけが作るもの」といった偏見もまだまだ少なくありません。
私個人としては、あまり特別なことと捉えずに、もっと一般的になってほしいと思っています。

では、その「遺言書」ですが、しっかりと法的な要件もおさえて作成さえすれば良いのでしょうか?

いえいえ、肝心なのは遺言書の内容にそって、土地や建物の相続登記、預貯金や株式などの名義変更などなど、、、
遺言者の遺志が実現できて、はじめて「良かった!」と思われるはずです。
実現できる時には、この世にいらっしゃらないので実感はできないでしょうが。。。

それでも、遺言内容の手続きを忠実に遂行してくれる「遺言執行者」を選任しておけば安心できるはずです。
また、相続人間の手間やトラブルを未然に防ぐことも期待できるでしょう。

今回は、遺言執行者に関する決まり事や、手続きなどあれこれとご紹介したいと思います。

これから遺言書の作成を考えておられる方、または遺言執行者に選任されたが、何からはじめたらよいのかお困りの方などにお読みいただければと思います。

遺言執行者とは

先述したとおり、遺言書の内容を具体的に実現していく人です。

未成年者およびは破産者以外であれば、誰でも遺言執行者になれます。特定の相続人や信託銀行などの法人であっても構いません。

遺言書による指定

遺言書により指定するのが通常です。本人には事前に承諾をとっておきましょう。

家庭裁判所による選任

利害関係人の請求により、家庭裁判所は遺言執行者を選任することができます。
利害関係人とは、相続人、受遺者、債権者などです。

遺言執行者に指定された者は、その職務を拒絶することもできますが、承諾した時からは直ちに任務にあたらなければなりません。

遺言執行者が必要なとき

遺言書の内容によっては必ずしも、遺言執行者を指定する必要はありません。
相続人だけでも手続きできることは多くあります。

しかし、次の手続きは、遺言執行者のみが執行できるものです。

・子の認知
・推定相続人の廃除および廃除の取り消し

もし、遺言執行者が指定されていなかったり、亡くなられているような場合には、家庭裁判所に選任してもらう必要があります。

遺言執行者の権限

遺言執行者は、相続財産の管理やその他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有します。

本来なら相続人全員で行うような手続きも、単独で行うことができます。

注意点として

他の相続人は、手続きを妨げるような行為はできませんので気を付けましょう。

もしも、遺言執行者に無言で勝手に財産を処分(土地の売却など)をした場合は、無効になります。

相続開始になってからの仕事の流れ

1.遺言執行者に就任した旨を相続人・受遺者全員に通知する

2.相続財産の調査をし、財産目録を作成して相続人・受遺者全員に交付する

3.受遺者に対して、遺贈を受ける意思を確認する

4.遺言書に子の認知がある場合は、就任してから10日以内に市町村役場に届出をする

5.遺言書に相続人の廃除や廃除の取り消しがある場合は、家庭裁判所に手続きを行う

6.遺言書の内容にもとづき不動産やその他財産の名義変更、預貯金の解約・払戻しなどの手続きを行う

7.手続き終了後に、相続人・受遺者全員に業務終了の通知をする

この他にも、相続財産の管理、その他遺言の執行に必要な一切の行為をする任務があります。

遺言執行者を指定するメリット

遺言の内容を迅速に実行できることが期待できます。

預貯金の解約などには、銀行所定の書類へ相続人全員の押印や印鑑証明書、遺産分割協議書の提出が求められます。

それらを揃えるだけでも大きな手間になるところ、遺言執行者の指定があれば単独で手続きができるのが一般的です。

遺言執行者を専門家に依頼されてみては

特定の相続人を遺言執行者に指定した場合では、他の相続人との間には利害関係が絡んでくるためにスムーズに手続きが進まないことも多く見られます。

当方にご依頼があった中でも、お父様のご存命中は仲の良い兄弟姉妹であっても、いざ相続がはじまると、自身の損得勘定が先に立ち、お互いを疑うような言動が目立ちます。
一家の調和は、父親の威厳で保たれていたというご家族は少なくないようです。

やはり親族間では感情的になりやすいので、トラブルに発展してしまうケースが多くなります。

そこで、おススメなのは、利害関係のない第三者であって、法律関係に強い専門家に遺言執行者を指定することです。
もしくは、既に任務が始まっていてお困りであれば、専門家に委任されることをご検討ください。

専門家というのは、一般的には弁護士、司法書士、行政書士があげられます。

費用の相場的には、名前を上げた順に安くなると思ってもらえればいいでしょうか。

訴訟まで発展しそうな場合は弁護士、不動産の登記は司法書士、それら以外ならトータル的にサポートできるのが行政書士だといえます。

もちろん、専門外という先生方もいらっしゃると思いますので、くわしくは問い合わせが必要ですね。

 

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