知っておきたい!遺産分割協議のやり直しで損しないための予防策

公開日: : 最終更新日:2014/09/17 全般

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おはようございます。
愛知県の行政書士 森智英です。

今回は、遺産分割が完了した後に、何らかの事情があってやり直しを検討するケースについてお話します。

このような分割協議のやり直しは、実務においては度々ご相談されます。

法律的には、関係者全員の合意があれば可能であるとしています。

「共同相続人は、既に成立している遺産分割協議につき、その全部又は一部を全員の合意により解除した上、あらためて遺産分割協議を成立させることができる。」との最高裁判決もあります。

しかし、法律的にはやり直しができても税務上で問題がありそうですので、それらについてご説明したいと思います。

相続財産とみなされない?

当初の分割により共同相続人に分属した財産を分割のやり直しをして再分割した場合は、その再分割により取得した財産はもはや遺産分割により取得した財産とはならない可能性があります。

例えば、故人(被相続人)の法定相続人は、長男と次男の2名であったとし、相続財産である土地建物を2分の1づつの共有持ち分として相続することで合意し、相続登記も2分の1づつで行いました。

しかし、その後の事情で、やはり長男一人の所有にしたいということになり、共有による遺産分割を合意解除し、長男一人の所有として登記を行いました。

この場合では、再配分で取得した財産は「贈与」により取得したものとみなされて、「贈与税」の課税を免れないということになります。

ならば長男が次男から共有持ち分を買い取ることにするとどうなるか?

今度は次男に対しては「譲渡税」が課税されます。

また、買い取り価格があまりにも時価とかけ離れたような安い金額であれば、長男に対しても「贈与税」を課される場合もあります。

当初の遺産分割協議をやり直しを検討するケースとは?

遺産分割後に、新たな財産が見つかったというケースがあります。

その場合の対応については、2つのパターンが考えられます。

1.見つかった財産のみで新たに遺産分割する

2.当初の遺産分割協議をやり直す

また、2.を選んだ場合については、問題があることは先述したとおりです。

事前に予防できることは

まず、一番には財産漏れのないようにしっかり調査を行います。

預貯金、有価証券については、取引金融機関を確認し、残高証明書の発行を依頼します。
借入金がある場合には、その残高証明書も入手します。

不動産については、固定資産税の名寄帳を取寄せて把握漏れがないなどのチェックをします。

他には、当初作成する遺産分割協議書に、「今後、記載以外の遺産が発見されたときは、すべて相続人○○が取得する」などと記載しておくこともおすすめです。

こうしておけば、原則として、新たに遺産分割協議を行う必要はありません。

ただ、その場合でも相続税の申告書の提出後であれば、相続税の修正申告は必要になります。

修正申告となると追徴税額の納付が必要となるほか、遅延利息相当として延滞税の納付も必要となります。

ですから、再度になりますが、充分な調査と慎重な分割協議が必要であるということです。

以上、参考になさってください。

 

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