自筆証書遺言と公正証書遺言の手続きについて徹底比較!
おはようございます。
愛知県の行政書士 森智英です。
今回も遺言に関する内容を書こうと思います。
一口に「遺言」と言っても、大きく分けて自筆証書遺言と公正証書遺言の2種類があります。
それぞれのメリット・デメリットについてはこちらのブログでもいくつか記事にしておりますので、おおよそご理解されている方も多いことでしょう。
では、実際の手続きの面について、どのように違いがあるのかはあまり知られていないと思いますので、ご紹介したいと思います。
また、メリット・デメリットについても補足してみたいと思います。
遺言を作成するには
自筆証書遺言
いつでも独りで作成が可能です。
何度でも手軽に書き直すことができます。
公正証書遺言
公証人の立会が必要です。
手数料については以下が基準となり、枚数やその他によっても多少の加算などがあります。
目的財産 | 手数料 |
100万円まで | 5000円 |
200万円まで | 7000円 |
500万円まで | 11000円 |
1000万円まで | 17000円 |
3000万円まで | 23000円 |
5000万円まで | 29000円 |
1億円まで | 43000円 |
1億円を超える部分については
1億円を超え3億円まで 5000万円毎に 1万3000円
3億円を超え10億円まで5000万円毎に 1万1000円
10億円を超える部分 5000万円毎に 8000円
がそれぞれ加算されます。
公証人が、公正証書等を作成した場合の手数料は、政府が定めた「国承認手数料令」という政令により定められています。公証人が赴く場合の旅費、日当についても定められています。
遺言者の死亡後の手続きは
遺言のとおりに、不動産の名義変更や預貯金の名義変更などを執行する場合にも、以下のような違いが生じます。
自筆証書遺言
遺言を執行するには「検認」手続きが必要です。詳細は後述します。
公正証書遺言
公正証書遺言があれば遺言を執行することができます。
原本は公証役場で保管されているので、必要時に請求すれば謄本が取得できます。
検認手続きの詳細について
自筆証書遺言では、「検認」という手続きが必要となりますが、これは家庭裁判所が相続人に対して遺言の存在を知らせるとともに、遺言書の内容を明確にして、検認後に偽造・変造を防ぐためのものです。
この「検認」に関して、もう少し詳しくご説明します。
申立ては誰がするのか
遺言書の保管者または遺言を発見した相続人
申立ては何処にするのか
遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に対して申立てをする。
申立てに必要な物は
- 所定の申立書
- 遺言者の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本、及び相続人全員の戸籍謄本
- 手数料等(遺言書1通につき収入印紙800円分と連絡用の郵便切手)
検認期日の時は
申立後には、裁判所から相続人宛に検認期日(検認を行う日)の通知がなされます。
ちなみに、申立人以外の相続人が検認期日に出席するかどうかは、各人の判断に任されています。
全員がそろわなくても検認手続は行われます。
申立人は遺言書、申立人の印鑑、そのほか担当者から指示されたものを持参します。
そして、出席した相続人などの立会のもとで封筒を開封し、遺言書を検認します。
検認が終了しましたら、検認済証明書の申請(遺言書1通につき150円分の収入印紙と申立人の印鑑が必要となります。)をすると、遺言の執行ができるようになります。
比較のまとめ
今回は、遺言書作成時と遺言者の死亡後の手続きの違いについてご説明しました。
このように、自筆証書遺言は作成時にはあまり費用がかからないことと、独りでも作成ができるために遺言の内容を秘密にしておくことも可能です。
しかし、遺言者の死亡後には「検認」という手続きを経なければ登記の変更などの遺言を執行することができません。
そして、その検認については、家庭裁判所への申立て、相続人全員へ検認の通知、検認期日の立会、検認済証明書の申請などに費用と時間がかかります。
一方、公正証書遺言の場合は、作成時には費用がかかりますが、遺言の執行時には検認手続きが不要であることから、相続時の費用や時間が節約できます。
また、相続人間の心理的な負担を考えると「検認」を避けた方が良いケースも多いでしょう。
というのは、検認に立ち会った相続人間で不公平な遺言内容だったりするとお互いに気まずい雰囲気になるのは目にみえます。
わざわざ遠方から駆けつけた者に配分が無ければ、快く思わないことも想像できます。
その点、公正証書遺言であれば、遺言の存在や内容についても、その遺言によって財産を取得する人を除けば、あえて他の相続人などに知らせる必要はありません。
また、この他にも自筆証書遺言に関しては、もめ事が起こるケースも見受けられます。
例えば、遺言者の真意に基づいて作成されたのか、または遺言書の内容が法的に有効なのか無効なのかなど猜疑が生じたりします。
その判断は、最終的には裁判で決着するしか仕方がありません。
そうなれば大変な手間ですし、費用がかさむことも想像されます。
以上のようなことからも、公正証書遺言によって作成しておくことの方が相続人の負担も減らせて、遺言の執行もスムーズに行えるので、おススメです。
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